年4回の談春師の最後となる札幌での「冬談春」。年4回,同じホールでの独演会。1回目の春談春から4回通しでチケットを買った客が大勢いて,もはや,客席は同志だ。
そんな温かい「チーム・談春」の総会,もとい,独演会に行ってきた。
座布団に座り,顔をあげた談春師。どうも,様子が違う。顔を固い。ショックなのだ,という。何がって,中村勘三郎が亡くなったことがだ。いっしょにゴルフに行った話し,談志と先代・勘三郎の関係から,十いくつ下の談春に,談志から教わったことを伝えるから,そのことを自分の息子たちに教えてやって欲しい,と言われたことなどのエピソードを披露した。
演目は,
と,「夢金」,「芝浜」。
やりましたよ。「芝浜」。まあね,みんな期待しちゃってるわけですよ,ずーっと前から。談志の弟子の談春師がやる芝浜を。私は好きな芝浜でした。嗚咽するほど,グーっと気持ちを向こう側に連れて行ってしまうほどの談志の芝浜とは違う,気持ちにいい芝浜。決して,気性が荒い狂気さが出てくるのではなく,仕事に一本気になっちょう,ちょっとファニーさのある主人公。DVが出てこない現代さ,と言えばよいか。上手くやってしまおうと思えばできるけど,談春師は,芝浜に疑問をはさむ。あれ,大丈夫?と思うけど,そこは我らが談春師,しっかりスジを戻して盛り上げる。すーっ,と気持ちのいい芝浜でした。
とはいえ,勘三郎が亡くなって最初の高座。それほどの存在だった,ということ。
蛇足だが,私にとっての勘三郎。正確には勘九郎時代のテレビドラマで見た「森の石松」。無鉄砲で一直線な石松。私は森の石松が大好きだった。案外,この石松は勘三郎そのものだったのかもしれない。
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