読書感想文「政治と宗教: 統一教会問題と危機に直面する公共空間」島薗 進 (著)

 いい大人が外で真面目に語ってはいけないとされるのが政治と宗教だ。
 よせやい、野暮だよ、となる。だが、政治と宗教がどうくっつくかとなると話しは別だ。宗教とは、個人の自律した行動を生む規範の元であり、世の中とつながりを持つ上での紐帯の一つだ。なので、信仰心の篤さの濃淡はあれど、宗教性を帯びて人は暮らしている。一方、政治とは国家の権力機構を差配する。権力の根源だ。宗教が俗世間での権力と結びついてしまうのは、民主制のもと国家が営まれることととかく相性が悪い。
 宗教そのものの持つ危うさは宗教の側が自覚しているうちはいいが,無邪気に弄んだり野放図にやらせておいていいはずがない。あくまで宗教の側として取り扱わなくちゃいけないが、とは言え、見て見ぬ振りしていいわけじゃない。自由と民権、平等の原則のもと築かれる社会に歯牙を剥き出しに立ち向かってくる相手に毅然とした態度をとれなきゃいけない。
 隠された話しではない。知らされてないわけでも、明らかになってないわけでもない。こうやって最新情報や研究成果が一冊にまとまっているのだ。世間の側が無関心や無知を装うのは許されない。