社長を出せ


 昨晩,ある会合に出かけたところ,クレーム対応の話題となった。
 隣席の方が,「役場」の窓口には様々な「クレーマー」がやってくる。ときとして,「首長を出せ」「助役を出せ」と乗り込んでくる,と話をした。
 そうした際には,適切なクレームマネージメントが組織として必要となる。それぞれの職階の担当がその職責と権能に応じて判断と対応するわけだが,「マネージャー」に相当する者は,基本的には最終的な場面で登場するのがスジであり,そうでならなくては「組織の体をなしていない」ことになる。もちろん,危機管理の要諦でもある。これは「役場」にかぎらず,「店長を出せ」「社長を出せ」となるので,組織で仕事をする際の基本の一つだろう。


 同席した経営者がうなずきながら,次のとおり言った。
 「役所は言われる側だけと思ったら大間違いだ。役所は企業に電話し『社長を出せ』とやる。企業の側のヒエラルキーや担当を無視して」


 なるほど,そのとおりだ。組織にいる側の人間は,自分自身は生身の人間としてクレームと向き合っている“だけ”と思いがちだが,組織としてクレーマーと同様の態度を取っていることに気づかないものだ。
 これだから,立場の違う人たちとのやり取りは大切だ,と思う。同じ組織や同質の人間同士では,視点を変えてモノを見ることをなかなか実感できない。だからこそ,いろんな場や交流の機会に足を向けることが重要なのだ。凝り固まった人間にならないために。