プレゼントは嬉しいか


 あなたがいま,欲しいモノがあるとする。そのことを考えているのは楽しい。あんなこと,こんなことできるなー,とか。あんなふうに,ぐふふ,とジマン・モードだったり,見せびらかしの自分を想像したり。そして,そのことに躊躇している間も実は楽しい。いや,それは高いし。いや,それは分不相応だし。今あるものとダブるし。置き場所が,メンテが,目立つから。云々。そうして,悶々とするのが実は一番ステキな時間だ。


 その欲しいモノが,もしくはかなりストライクに近いモノがプレゼントされた,とする。嬉しいか?もう,頭の中で,そのモノと戯れることを拒絶されるのだ。目の前に現れたプレゼントによって。そして,そのモノを手に入れようとの努力や,どの店で買おうか,いや,それより店頭でどう振る舞おうか,店内で最終的にどう迷って,どうのたうち回って,いや,一回やめて家に帰っちゃったりして,また,出直してきて,えーい,と踏ん切りつけて,決めちゃって,と。こんな楽しみが奪われたわけだ。嬉しいか?


 本当に欲しいモノは,自分自身でそのモノと決着をつけるからイイのであって,プレゼントは思いがけぬモノ,予想だにしないモノを,自分に付加するモノであるのがいい。


 なので,プレゼントは食い物がいい。喰ってしまってなくなってしまうモノが。もしくは日用品,消耗品の類いだ。相手の趣味のモノは贈ってはいけない。