読書感想文「喫茶おじさん」原田 ひ香 (著)

 イーブンとは何か。イコールパートナーとは何か、である。
 おじさんが拗(こじ)らせた話しである。あぁ、そうか、その類いか、そういう感じか。では、なぜ、拗(こじ)らせた後にしか、「話し」にならないのか。そういうもんだろ。でも、そこを面白がっていいのか。いや、拗らせた状況じゃないとエンターテイメントは成立しないわけはなく、イライラやストレスをブツけられる「男は黙ってサッポロビール・おじさん」という典型を描いて、溜飲を下げている場合なのか。
 違うのだ。実は、おじさんは狂言回しなのだ。おじさんを通して、チームやペアにおけるイーブンな関係であったり、パートナーシップとは何かを問いているのだ。もう少し言おう。信用の話しであり、関心を持っていたり、信頼を持っていたりということなのだ。だから、熱く語ったり、本音を吐露したり、問いかけたり、弱音を吐いたりすることなのだ。
 「諦められている」、「頼りにされていない」、「つまらないと思われている」ということに人は敏感だ。残念なことに、それは顔に書いてある、出ちゃうのだ。
 読み解くべきは、人がつくる最小単位の社会関係構築である。マイクロ・チームビルディング、マイクロ・マネジメントの話しである。