読書感想文「こわいもの知らずの病理学講義」仲野徹 (著)

 コロナ禍のいま,あらためて「病気とは」そのものから考える一冊。書評サイトHonzで活躍するオモロいオッちゃんである仲野先生が説く病理学である。
 病気の学問である病理学の立場からは,医学や生物学で使われる論理の多くは,決して論理的な難しさがあるわけではないと言う。専門用語がたくさん出てくるので難しく感じるだけだから,医者の説明を聞くといいのだ,と。
 それにしても,細胞である。細胞の理解が病気の理解なのだ。
 「病の皇帝」がん。では,新型コロナの肩書は何になるのだろうか。「疫学というのは,個人ではなくて集団における病気の状態を解析して,病気の原因や予防法をさぐる学問です。(略)もともとは伝染病が主な対象でした。いちばん有名な研究は,まだ病原微生物が病気をひきおこすということすら知られていない19世紀中頃のコレラの話です」。まさに,いま疫学の時代の最中である。


こわいもの知らずの病理学講義

こわいもの知らずの病理学講義

  • 作者:仲野徹
  • 発売日: 2017/09/19
  • メディア: 単行本