読書感想文「うつ病は心の弱さが原因ではない: ウイルス原因説から見えるうつ病治療の未来」近藤一博 (著), にしかわたく (著)

 全ては疲労である。
 なので,ホントは休めばいいのだが,ウィルスが機能しちゃってる人はそれができない。何がって,僕等にお馴染みのヘルペスウィルスが主役なわけだ。みんな,持ってるヘルペスウィルスだ。疲労とウィルスと抗体,そして遺伝子であり,結果として生じる脳の変化がうつ病だ,と言うのだ。
 これまで,ずーっと,病気そのものはありながらも旧来の学説が温存されたまま,「よく,わかんないんだ」と言い出せずにいた分野であった。だが,遺伝子解析が容易になり,ウィルスの特定も可能になった。
 今後,一層,あんな病気やこんな病気も実はウィルスや遺伝子がファクターだったと明らかにされるものが増えるだろう。それは,世の中を変えちゃうことにもなるだろうし,色んなアイデアでそれらが発現する機構を説明してくれるだろう。田舎の工業高校や農業高校で,遺伝子解析が当たり前になる時代がくる。中学校の理科室で,かかりつけ医のクリニックで遺伝子検査のシーケンサーが動く時代が来る。
 実は,全ては遺伝子とウィルスである。