ウチダカズヒロのブログ

最近は読書感想文を書いてます。オススメ本を教えてください。読書感想文のご依頼あれば、読みます(たぶん)。kazgeo@gmail.com まで。

読書感想文「宗教と政治の戦後史 統一教会・日本会議・創価学会の研究」櫻井 義秀 (著)

 弱いとカルトに付け込まれるのだ。
 選挙に弱い政治家。社会情勢から置いていかれる社会運動。この状況を何とかしたいと頭を抱えたとき、カルトは忍び寄ってくる。ズブズブにしてしまえば、結果がどうなろうと、その後は、頼らざるを得なくなる。取り憑いて仕舞えば勝ちなのだ。
 成功体験を、選挙イベントや法案成立を通じて若手信者や構成員に体験させることで、「成功」を実感させているとも言える。もちろん、言論活動として、出版部数を飛躍させるのも自身や仲間内での喜びとなったのは難くない。そこでは仲間との紐帯を実感できているのだろう。
 社会経済の停滞がもたらす弊害とは、世の中のダイナミズムが失われることだ。するとどうなるか。社会階層や序列の固定化が進む。勝者、敗者が決まったままになる。これではいかんのだが、既得権益を持つ者にとっては有利だ。本書においては、衰えつつある既得権益者として描かれるのが、弱い政治家とカルト宗教である。だからこそ、蜜月関係を築こうとする。
 考えるべきは、誰が言っているかではなく、客観性のある事実と意見の区別をつけること。そして、決定を他人に委ねないこと。どんな宗教であっても、批判的に慌てずに見つめる冷静さを持つこと。そして、自分自身をも疑ってかかることだ。自分、騙されてないか。騙されてないと信じ込んでないか。実は、自分が決めたのだと信じ込まされてないか。
 宗教も個人の人権を守るために開かれ、その活動に説明責任を負えるようでなくてはならない。部分社会の法理をその団体へ委ね過ぎ、団体内部の規律問題については司法審査がどこまでも及ばないわけではないと、宗教の内部の者にも外部の者にも思わせなきゃならない。その門の向こうにだって市民社会の原則は届く。