Lo-D,Technics,OTTO,Aurex,日本marantz,DIATONE,山水,nakamichi,DENON,OPTONICA,AKAI,……。呪文ではない。かつて日本の電気メーカー各社が競って世に送り出したオーディオ・ブランドだ。大手電気メーカー系もあれば,独立系もある。かつて家電量販…
優秀な官僚に委ねてしまえば万事,上手くいくはず…。そんなことは誰も思わなくなって久しい今,かつての公務員制度改革には「労働市場で優秀な人材をいかに惹きつけるか」「良い政策実現のために,政治が持たない知見をどう補完するか」といった,人事政策の…
組合,寄合スペクタクルである。 互助組織,互恵団体は言うに及ばず,そのムラの中で権力が集中せず,納得と道理でモノゴトが決まっていくまで議を尽くす場は,日本社会の典型であり生き残りの知恵であった。そんな組合,寄合での話しだ。 登場するのは,戦…
説明用の資料をまとめようにも苦労する人がいる。せっかく作っても頓珍漢な中身にしかならない人がいる。この本は,そのことの本質を突いた。 なぜ,伝わらないのか。違う。伝える中身,本質があやふやだからだ。そもそも伝えたい気持ちが薄かったり,やらさ…
人生下り坂最高!(火野正平)の手前,まだまだ悩める吉本ばななである。 よしゃあいいのに,人生のあれやこれやを思い出す。そして,悔いたり寂しがったりする。かつて住んだそれぞれの場所でのヒリヒリする思い出やゾワゾワする落ち着かない危なかっしいア…
契約とは何か。概念や理屈ではなく,肌身として,このことがわかっている日本人が何人いるだろうか。落合博満とは,そうしたプロフェッショナルな側の人間だ。 監督・野村克也にとって打者・落合はどうしても打たれてしまう諦めの相手であり,理解不能だった…
ヤマザキマリは,ずっと安部公房を推している。 エッセイでも,TV番組でもだ。彼女にとって羅針盤となった安部公房の小説群は,彼女の人生の苦難を相対化してみせ,そして人間というものの存在について彼女の全身に電気が走るようにして焼きつけた。 そんな…
今ごろ,ジョブズかよ。そうなのだ。もはや,みんな知ってる教科書に載る偉人だ。エジソンやフォード一世と同格か,それ以上の存在だろう。今さらだ。 エピソードや伝記の類であれば,食傷気味だ。だが,この本の価値はそこじゃない。欠点だらけの人物だった…
暴力的なまでのモラハラ=パワハラやいじめに,どう対処するかを説いた本だ。それも具体的にだ。 強烈なモラハラを受けている時の体や心の変化をどう発見するか。そして,どう対処するか。それを,できそうもない方法やありえない手法で煙に巻くのではなく,…
商売における善とは何か。商人道徳とは何か。 コミュニティを大切にせよ。儲けは後からついて来る。夢を語り,ファンには直接,語りかけ,そして,副産物として生成されるコンテンツはフリーに,ファン同士が繋がりやすくなることに注力せよ。まさに「Don't …
ビジネス物知りおじさんになれる一冊である。いや,ビジネス物知りおじさんとお話し相手ができるようになる本だ。できることなら,そんなビジネス物知りおじさんが語る上手い話しは避けた方がいい。商売の本質はそんなところにはないからだ。なので,この本…
レベッカは勇敢である。 そして,彼女は冷静かつ正確に問題をとらえ,その一点に怒りを持ち続けている。その矛先は,こんな状況になってしまったアメリカについてである。こんな状況とは何か。嘘,出鱈目,インチキ,嘲笑,誤魔化しがまかり通る正義なき社会…
行政とは,見えにくい存在だと金井先生は言う。網羅する対象の範囲の広さとそれに応じた組織・機構,国と地方,政治と官僚や現場職員の関係など,複雑多岐に渡るし,興味関心なく関わりを持たないように生きようとすれば,最小限の接触にすることだって可能…
国際人権規範について話しだ。いや,テーマとされるのは,なぜ,国家の支配者は,やがて自分の首が絞まるような国際人権に賛同し,批准した条約の遵守義務と向き合わざるを得なくなっちゃうような「空虚な約束のパラドックス」に陥ってしまうのか,だ。 それ…
ヤバイ人の話だ。 旅そのものの定義に内在する「戻る」という行為に,計画性や時間制約を嗅ぎ取り,さらに不自由さも一々感じちゃって,自身の感覚と自活による移動こそ追求対象だとして,ついにやっちゃう人が主人公なのだ。そんな理屈っぽいこと考えたとし…
参ったなぁ。「頭がいい」とは,いま,ここまで客観的に定義づけられているのか。 「頭がいい」とは,頭の使い方を意識的,無意識的にせよ,わかってやっているということだ。それには,動機付けや感情といった非認知的な要素も深く関わっているので,ますま…
関取にぶん投げられる気分と言えば近いだろうか。回しを取られて空中に浮かぶ上がって振り回されるように物語の渦へ持っていかれる感じ。それが原田ひ香お馴染みの読後感だ。 現在の世の中のいるであろう市井の人々と,いまこの時点のトピックスを盛り込み,…
近江を考えることは一つの厄介である。 琵琶湖を囲むすべての道が街道なのだ。東海道,中山道,北国街道,若狭街道,塩津街道。京の都に入る前に湖水を横目に,もしくは湖水の上を経由して一度,この地を行き来するのだ。当然,人々は多様で一筋縄ではいかな…
いま,子どもが難しい。 いや,子どもは子どもなので放っておいたって子どもなのだが,子どもの親でいること,子どものいる家庭,子どものいる社会を築いていくのが難しいのだ。まして,学校はその存在からしてずっと難しいままだ。 なぜか。子どもと向き合…
筋肉実況中継・ジェンダー内面葛藤こじらせ小説である。 目指した場所が自由をもたらしてくれると意気込んだはずなのに,さらに一歩踏み込んでしまったそこは「クラシック」な価値観に支配されていた。でも,目標期限を決め,そこまでは頑張ることにしたのだ…
本を読むと,その本の話しを誰かとしたくなる。あまり余って読書会なんてものをやりだす。 あのテレビ番組「100分de名著」のアフタートークである。伊集院光が,どうしても勢いづいて,案内役の3人と語り出してしまったのだ。テレビ番組では,まっさらな人…
源流に遡って考えることの大事さを,あらためて知る好著である。 どっかで聞き齧ったような生半端な知識を,さもさもわかったふうに使ってしまうことの帰結が,いまの世の中の始末じゃなかろうか。そんな,いきりたった半可通が威勢のいいことを言い,それも…
生ける伝説・中野善壽の初の著書。 ゆるりと竜が空を駆けるように生きる中野の言葉に,はぁーと感嘆の吐息がもれてしまう読者が多いだろうことは,容易に想像がつく。 中野の価値と意味とは,個としての存在である。学閥,閨閥,出身地,遺産など自分をつく…
ストーリー仕立ての紛争処理の実務をテーマとした行政法理解本である。 行政法を学ぶとは数多(あまた)ある個別行政法を網羅することではなく,行政作用法や行政救済法を学ぶことを意味するわけで,行政手続法,行政不服審査法,行政事件訴訟法の3法を理解…
お花畑を闊歩する幼児の天真爛漫さのような理想状態を描き,そこから現実へアプローチする理念的な物言いによって,現実の事象とその対応策へ反論する「リベラリズム」及び「リベラリスト」から本書への感想を,ぜひとも聞きたいものだ。 アメリカのリベラリ…
「ほんとうは面白いウイルスの世界」であり「●●の知らないウイルスの世界」である。 目には見えないが周りや体内にいつも存在し,何なら無くては困る存在だったりもするウイルス。今は,定時のニュースでその大活躍が報じられているが,昨日今日,現れたわけ…
「東京コント」ストーリーである。もしくは,バナナマンや東京03とともに時代を作ってきた男のパックヤード譚である。 それにしても貴重なキーワードが飛び出す。「お笑い自意識」。笑いを生み出す目線とその目線を持つ自分の立ち位置を一言で表した言葉だ。…
未来は作れる,という話しだ。しかも,国家レベルの。 これを読んで,元気が湧いて来ない人がいるのだろうか。読んでいる途中から,ムクムクと内側から起き上がってくる意欲。目の前が自然と明るくなって,希望を感じられるはずだ。 あらゆる業種で,蓄積さ…
さて,どう読むか。没後10年,立川談志の原点を辿り,1953(昭和28)年の社会風俗を知る資料として読むか。当時,まだ前座修行中の何者でもないような一人の若者の悶え,鬱屈,躊躇い,嘆きの生々しさ,熱さを描写した文学として読むか。 確かに,前座・柳家…
ただの日本特殊論じゃないぞ。 日本社会がある以上,それを構成ならしめている構造がある。夫婦,兄弟,地域社会といった小さな集団社会から,大きな集団社会まで,その構造に特徴があるから,社会に特徴が現れる。集団や社会に馴染めないな,と思う人は,今…